中心市街地の角地に建つ都市型住宅。
周辺は、敷地を塀やフェンスで囲った住宅やカーポートが道路に面する住宅が建ち並んでいます。 

設計に求められたことは、
プライバシーが確保されていること、
敷地の外や室内から見える庭と外観が調和のとれたデザインであること。
周辺に並ぶ建物の構えとは異なる、新しい切り口で提案が必要と考えました。

 
「入れ籠の家」はシンプルな矩形の建物(内籠)に大きな屋根 (外籠)を纏う住宅です。 

外籠と内籠の間は、街から離れた、室内とつながるプライベートな庭です。
家族を迎える玄関ポーチであり、
リビングとつながるテラスであり、
寝室から眺める内庭であり、
屋根があり利便性の高い駐車場となります。 

外籠と敷地境界の間は街に開かれた庭です。
大きな庭やアプローチは、塀を設けないことで街を彩ります。

外籠は暖簾のように、
下げることで目隠しとなりプライバシーを確保し、
上げることで人を迎え入れ、庭や空を見渡し、光や風を取り込みます。

これらの仕組みにより、
リビングは、大きな窓からテラスにつながり庭を眺め、四季や時間を感じられる場になります。
寝室は、内庭から外籠に映るやわらかな光を取り込み、落ち着きあるプライベートな部屋になります。
小学生の通学路である街の交差点は、外籠の足元が開かれたことで安全に見通すことが出来ます。

そして、庭は部屋からの眺めを豊かにすると同時に外籠が開かれることで街を彩ります。

イノスの家 2023年度デザイン賞 『優秀デザイン賞』
構造設計：リズムデザイン構造計画事務所